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「もの」の一生

2016.7.6

先日、あるお客さまが古い金の懐中時計を修理に持って来られました。お祖父さまが愛用されていた時計をゆずり受けて数年使っていたそうですが、ゼンマイが切れて動かなくなったとのこと。

 

1911年にスイスで創業したEBELの金時計。メモを見ると、昭和10年に正直屋でお買い上げいただいたものでした。
現在は婚約指輪・結婚指輪がメインの正直屋ですが、まだ時計や記念品も扱っていた時代の貴重なもの。

80年の時を経たとは思えないほどのキレイな保存状態から、本当に大切にされていたことが伝わってきました。

部品が製造されなくなったり、職人が減ってきたりで、こういった懐中時計の修理ができなくなる日は、そう遠くないのかもしれません。もしいつか動かなくなる日がきても、きっとお祖父さまから受け継いだこの時計をずっと大切にしていかれるんでしょうね。

そう思うと、「もの」の一生は人間よりずっとずっと長いのかもしれません。